南部において

南部ではどうか

それでは最後に、イタリア南部における料理について考察していく。北部では寒冷対策に特化した料理、中部ではまずい料理をいかにして安くて美味しい料理にすることが出来るか、といった同じ国内でも特徴と料理に対する傾向が面白いほどに異なっている。共通しているのは前者・後者共に生活をしていく中でいかに自分たちの食事情を守っていくべきか、と言った点だ。ただそれぞれの地域はまだ食べるものがそこまで困窮することはないといえばないかもしれません。北部にしても国内から一歩先はその他の欧州地域が広がっています。その気になれば国外逃亡して、まだマシな生活欲しさに飛び出すことも出来るでしょう。中部にしては貴族たちが集中して暮らしているため、食料の流通に関しては他のどの地域よりも優れている。買えるかどうかとなると微妙な話になりますが、それでもないと言われるようなことには遭遇しないでしょう。

しかし南部に限ってはまた話が変わってくる、ここはいうなれば中国の内陸部のような生活をしている人たちがたくさんいるような、そんな土地だったからだ。貧しい農村や漁村が集中しているため、生活にゆとりを持っている世帯は数える程度しか存在していなかったと言えるでしょう。そんな状況で人々は生きていくためのコツとして、料理にどのようなこだわりを持っていたのかを考えてみる。そうして行き当たるのは、イタリア料理の代表と言える『パスタ』が出てくる。

安くてボリューム感のある料理を

イタリア南部における料理は、貧しい人々だからこその特徴といえる『ボリューム感を求めた料理』が多く見られる。それはスパゲティ然り、ピッツァにしてもそうだ。これらは全て南部で生み出された食事となっており、人々が安くてボリューム感のある料理を食べて空腹に苛まれないようにするための努力が積み重ねられていた。ですがただお腹が膨れるだけでは意味がありません、十分な栄養バランスが整えられていないと話にならないため、質と量に加えて味に対しても質素ながら妥協を許そうとはしませんでした。ただ基本は贅沢をしないのが信条とも言えるので、極端に高い食事を食べることもしませんでした。

今となってすれば、こうした農村の人々が作り出していた料理はいわゆるお袋の味に近いのかもしれません。何処か懐かしくて、イタリア料理の中でも豪華ではないのに母親の料理を思い出せてくれる、そんな感じが食べる人の心に影響を及ぼす人も多いはず。パスタはいわばイタリアの郷土料理と言っても良い、日本で言えば地域にもよりますが、味噌汁みたいなものでしょう。安くてボリューム、でも味にもなるべく妥協をしないで美味しい料理を創りだす、イタリア南部に住んでいた人には南部なりの料理に対するこだわりが込められていた。

イタリア南部に位置するシチリアの話

さて、南部の話をすると少し先にある島の話にも触れておこう。そこはシチリア、ここもイタリア領となっていますが、自治州として独自に政策を行っている。一見するとイタリア料理とは関係無いように見えますが、この島でも料理には強いこだわりを持っている。歴史的に確執はありましたが、それでも料理という文化に対してはこだわりを持っているところを見ると、血は争えないようだ。そんなシチリアといえば、何と言ってもお菓子が有名だ。

イタリア式にはドルチェと言いますが、ここで作り出されるそれはまさに絶品の数々。シチリア独自の伝統と文化によって育まれたドルチェは、イタリア各地でお目にかかれるかどうかも分からないお菓子が多数存在していて、甘いモノが好きな人にはまさしくロストヘブンといったところ。かと言って甘すぎるわけでもなく、控えめな甘さで中にはお酒と一緒に甘味を味わえるという、少し変わった文化なのも特徴だ。

イタリア領で独自政策を行っているシリアですが、料理に対するこだわりはイタリアと遜色ないくらい強く持っているようです。

専門的に

イタリア料理について勉強していくとなったら、恐らく一生分の時間を費やしても足らないくらい学びたいこと、研究しなければならないことが出てきそうなのがわかったでしょう。それだけこの国では料理に対して強く、世界的に引けをとらない文化として成立しているのです。あるときは高級料理を楽しむも良し、またある時は庶民らしい懐かしい味や生活の知恵により生み出された絶品安価な料理を食べたり、また郷土料理であるパスタとトマトの組み合わせがいかに素晴らしいかを再確認したりと、そんな色々な経験が現地は出来そうだ。

ただその分、色々な意味で気をつけていないと後の祭りになってしまうので、食べ過ぎにはご注意下さい。特にシチリアへ訪れた際には、カロリーを気にしていないととんでもないことになる、だからロストヘブン的に見たほうがいいんです。